- 告知義務とは、売主が知っている物件の欠陥や事情を、契約前に買主へ伝えなければならない法律上の義務
- 告知義務の対象は「物理的・環境的・心理的・法律的」の4つの瑕疵
- 違反すると、補修請求や損害賠償請求など、段階的に重い責任を問われる
不動産を売却する時、「この物件のことをどこまで伝えればいいのだろう」と悩んでしまう方は少なくありません。
この記事では、告知義務の対象となる瑕疵の種類や違反した場合のリスクについても取り上げます。
広島市で瑕疵がある物件の売却を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
不動産売却における
「告知義務」と4つの瑕疵
不動産を売却する際、売主には「告知義務」というものがあります。
告知義務:物件について知っている欠陥や気になる事情を、契約前に買主へ伝えなければならない法律上の義務のこと。
2020年の民法改正により、売主の責任は「契約不適合責任」というルールに変わりました。これは、契約書に書かれていない不具合や事情があった場合、売主がその責任を負うというものです。
参照:法務省「売買,消費貸借,定型約款などの契約に関するルールの見直し」
知っていることを伝えていなければ、それだけでトラブルの原因になってしまいます。
告知義務の対象となる瑕疵(欠陥や不具合のこと)は、大きく分けて以下の4種類です。
①物理的瑕疵
建物そのものの不具合や欠陥のことです。生活に支障が出るレベルのものは、必ず告知する必要があります。
- 雨漏り、シロアリ被害
- 基礎や壁のひび割れ、地盤沈下
- 給排水管の故障、建物の老朽化
②環境的瑕疵
物件自体に問題がなくても、周辺環境が原因で日常生活に支障が出るケースです。
- 近隣の工場や道路からの騒音・振動
- 悪臭の発生源が近くにある
- ごみ処理場や暴力団事務所などの嫌悪施設が周辺にある
③心理的瑕疵
買主が心理的に不快感や不安を抱く可能性がある事情のことです。
- 過去にその物件で自殺や事件が発生した、いわゆる「事故物件」
- 近隣で事件性の高い出来事があった場合
心理的瑕疵は判断が難しく、告知が必要な期間にも目安があるため、次章で詳しく解説します。
④法律的瑕疵
建築基準法や都市計画法などの法律により、建物の建築や用途に制限がかかっているケースです。
- 再建築ができない土地(再建築不可物件)
- 増改築に制限がある物件
- 用途地域による建築制限
広島市なら土砂災害警戒区域かどうかも確認!
広島県は、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)・土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の指定件数が全国でも多いエリアです。
特にレッドゾーンでは、一定の開発行為に知事の許可が必要になるなど、追加の制限がかかる点にも注意しましょう。
該当するかどうかは、お住まいの市町村の窓口に確認してみることをおすすめします。
参照
・広島県「市街化区域内の土砂災害特別警戒区域を市街化調整区域に編入する取組方針」
・土砂災害ポータルひろしま
・広島市「広島市土砂災害ハザードマップ」
心理的瑕疵物件の
告知期間はいつまで?
前章で触れた心理的瑕疵のうち、特に判断が難しいのが「事故物件」の告知期間です。
国土交通省が公表している「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によると、告知が不要とされる主なケースは以下のようになります。
- 老衰や病死など、自然死によるもの
- 日常生活の中で生じた不慮の死(転倒による事故死など)
- 事案の発生からおおむね3年が経過している場合(特殊清掃が行われた場合を含む)
ポイントは、発生した死が買主の判断に重要な影響を及ぼすかどうかです。
一方で、以下のようなケースでは告知が必要とされています。
- 自殺や他殺など、事件性の高い死因によるもの
- 社会的な影響が大きく、地域で広く知られている(周知性が高い)場合
- 買主・借主から直接尋ねられた場合(告知義務がないケースでも、正直に答えることが求められる)
参照:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン 」
なお、「事案発生からおおむね3年が経過すれば告知不要」という基準は、賃貸借取引に限定されたものです。
売買取引の対象不動産そのものについては、こうした年数の目安は定められておらず、事件性や周知性、社会に与えた影響などをもとに判断されます。
このように、心理的瑕疵物件の告知義務は「経過年数」だけでなく、事件性や周知性といった複数の要素を踏まえて判断されます。
そのため、判断に迷う場合は、早めに不動産会社へ相談し、事実関係を正確に伝えることが大切です。
弊社「優良不動産販売」では、業歴10年以上の宅建士資格者が査定・ご相談を担当しております。
瑕疵のある物件でも安心して現金化できるよう、お客様に寄り添ってサポートいたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
告知義務に違反するとどうなる?
4つのリスク
告知義務を果たさずに物件を売却してしまうと、売却後に買主から次のような請求を受ける可能性があります。
契約不適合責任のもとでは、状況に応じて段階的に重い対応を求められることになります。
- ①補修請求:雨漏りやシロアリ被害など、修繕によって直せる不具合の場合、その修繕費用を請求される。物理的瑕疵で最初に発生しやすい請求。
- ②代金減額請求:補修に応じない場合や、補修では直せない不具合の場合、その分を差し引いた金額への値下げを求められる。
- ③契約解除:補修請求や代金減額請求に応じない、あるいは不具合の程度が重大な場合、契約自体を解除される。
- ④損害賠償請求:契約解除に伴い、買主が支払った印紙代や登記費用、引っ越し費用などの実費を請求される。また、心理的瑕疵で買主が精神的苦痛を受けたと判断された場合は、慰謝料が含まれるケースも。
これらは買主から売主に対して起こりうる請求ですが、告知義務違反の責任を負うのは売主だけではありません。
仲介を担当した不動産会社が、物件の状態を把握していながら告知を怠っていた場合は、不動産会社自身も買主から損害賠償を請求される可能性があります。
「言わなければ分からない」ではなく、知っている情報は先に伝えておくことで、結果的にトラブル回避に繋がるでしょう。
告知義務がある
不動産を売却する方法
告知義務があると分かると、「正直に伝えたら売れなくなるのでは」と不安になるかもしれません。
しかし、瑕疵があるからといって売却を諦める必要はありません。
不動産会社へ早めに、正直に相談する
まず大切なのは、把握している瑕疵の内容を仲介を依頼する不動産会社へ早い段階で伝えることです。
物件の状態を踏まえたうえで、適切な価格設定や売却方法を一緒に検討してもらえます。
また、瑕疵を隠したまま売却活動を進めてしまうと、後になって契約解除や損害賠償請求に繋がるリスクが大きくなるでしょう。
リフォーム・修繕で印象を改善する
雨漏りやシロアリ被害など、修繕できる物理的瑕疵であれば、リフォームによってある程度解消できます。
また、事故物件のような心理的瑕疵の場合も、クロスの張り替えや清掃によって、購入希望者が抱く印象を少しでも改善できる可能性があります。
老朽化した不動産は「解体」も選択肢に
建物の老朽化が進んでいる場合、更地にして土地として売却する方法もあります。
特に相続した空き家では、以下のような公的な制度が利用できることがあります。
自治体の除却補助制度
例えば、広島市の「老朽危険空家等除却補助制度」では、倒壊のおそれがあるなど老朽化が著しい空き家を対象に、解体費用の一部が補助されます。
- 対象:広島市内の戸建住宅のうち、腐朽・破損の程度が一定の基準以上で、道路に近接するなど周辺への危険性が高いと判定されたもの
- 補助額:除却工事費の3分の1、または国が定める標準除却費をもとに算出した額のいずれか低い方(上限50万円)
- 利用の流れ:①申込・予約→②市職員による現地調査→③老朽危険空家等の判定を受ける
補助の予定件数は限られているため、申込多数の場合は 抽選になることもあります。
また、対象要件や補助額は自治体ごとに異なるため、物件のある自治体の窓口へ事前に確認しておきましょう。
参照:広島市「広島市老朽危険空家等除却補助制度」
空き家の譲渡所得3,000万円特別控除
相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例が利用できます。
※令和6年1月1日以後の譲渡で、対象家屋・敷地等を取得した相続人が3人以上の場合は2,000万円になります。
主な要件は次の通りです。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
- 相続開始の直前まで、被相続人が一人で住んでいたこと
- 売却時点で耐震基準を満たしているか、更地にしてから売却すること
- 相続開始日から3年目の年末までに売却すること
- 区分所有建物(マンション等)ではないこと
- 譲渡対価が1億円以下であること
要件が細かく定められているため、該当するかどうかは税務署や税理士への確認をおすすめします。
参照:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
早く確実に現金化するなら「買取」という選択肢も
修繕や解体の時間をかけずに手放したい場合は、不動産会社に直接買い取ってもらう方法もあります。仲介と買取の主な違いは次の通りです。
| 仲介 | 買取 | |
|---|---|---|
| 売却の相手 | 一般の購入希望者 | 不動産会社 |
| 売却期間 | 買主が見つかるまで (数ヶ月かかることも) |
短期間で 現金化しやすい |
| 売却価格 | 相場に近い価格が 期待できる |
相場の7〜8割程度 になることが多い |
| 内覧・案内 | 必要 | 原則不要 |
買取は、購入希望者を探す期間が不要なため、資金化までのスケジュールを立てやすいのが特徴です。
一方で、不動産会社が買い取った後の修繕費用や再販費用が差し引かれる分、売却価格は相場より低くなる傾向があります。
「早さ・確実性」と「価格」のどちらを優先したいかによって、仲介と買取のどちらが合うかが変わってきます。
不動産売却の
告知義務に関するFAQ
ただし、契約不適合責任は「知っていたかどうか」に関わらず生じる場合があるため、引き渡し後に判明した不具合について、補修や代金減額を求められる可能性はあります。
詳しい経緯が分からない場合も、分かっている範囲の情報を正直に不動産会社へ伝えましょう。
まとめ
告知義務のある不動産を売却する際は、把握している情報を正直に伝えることが結果的に自分自身を守ることにつながります。最後に、この記事の要点を振り返ります。
- 告知義務の対象は「物理的・環境的・心理的・法律的」の4つの瑕疵
- 心理的瑕疵物件の告知は、経過年数だけでなく事件性や周知性を踏まえて判断される
- 告知義務に違反すると、補修請求から損害賠償請求まで、段階的に重い責任を問われる可能性がある
- 瑕疵があっても、リフォームや解体、買取など、売却を進める方法はある
「このまま売って大丈夫だろうか」と不安に感じる事情がある方は、一人で抱え込まず、早めに不動産会社へ相談することをおすすめします。
弊社「優良不動産販売」では、相続や空き家、告知が必要な物件のご相談も承っております。
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